テレビ局はなぜ自爆行為だと知りながら、新コロを煽るのか?

私は、ここ20年くらい家にテレビがない生活をしているのですが、しばらく青森のカミさんの実家に居候していたため、それなりにテレビをみていました。

感想は「新コロ、煽ってるなー」です。

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ここで「新コロで死者増えてないからほっといてOK」「いやいや、重篤者増え始めてるからヤバイ」の議論をする気はありません。
ただ、テレビ局的には、必要以上に煽ると自分の首を絞めるのに、なんでだろうなと思ったのでその理由を考えてみました。


新コロを煽ると、テレビ局がひどい目に遭うわけ

テレビ局のワイドショーは、殺人事件から台風から芸能人の不倫まで、センセーショナルに報道したがります。それは、センセーショナルな方が、たくさんの人が興味を持ってくれて、視聴率が上がるからです。

視聴率が上がる→CMの単価が上がる→テレビ局が儲かる なわけですね。

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しかし、新コロにより、この流れが一変します。

テレビ局の放送部門の売上の大半はCMです。
そして、新コロにCMを大量に打っていたパチンコや旅行や航空やレジャー業界は、ご存じの通り大変な状況になっています。

今年度営業利益
オリエンタルランド 319億 → -156億
JAL 210億 → -1,200億
ANA 161億 → -1,590億
HIS 90億 → -15億

高い金払ってTV CM打っている場合じゃありません。ちゅか、売るものありません。
これは、新コロが続くかぎり改善しないでしょう。

つまり、新コロに関して視聴者の関心が強くなるほど、CMを打っている企業の商品に対する視聴者の購買意欲がなくなり、企業が儲からなくなり、CMを打たなくなるわけです。

センセーショナルな番組を作り、視聴率が上がるほど、CMが売れなくなるわけです。

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実際、テレビを見ると「猫を大切にしろ」とか「犬を捨てるな」とか「ネットにドラマをアップするな」とかの公共広告機構のCMがいっぱい流れますよね。あれ、流すCMがないからです。

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ちなみに、2019年度の民放各社の営業利益の変化はこちらです

日テレ → -13.3%
TBS → -35.4%
テレビ朝日 → -22.3%
フジテレビ → -24.1%

2019年4月1日〜2020年3月31日までの数字なので、新コロの直撃を受けたのは2,3月の2ヶ月だけ。それでこの有様です。悲惨です。

と、そんなことはテレビ局はわかっているのでしょうが、なんで、センセーショナルな番組を作るのか?これは「職種」が関わっています。


番組を作る人と、CMを売る人は別人

テレビ局は巨大な組織ですので、たくさんの職種があります。
たとえばコマーシャルを売るための営業の人が集まる「営業部」と、TV番組を作る人が集まる「制作部」は、別部門で別の人たちが所属してます。そして、各部門にとっての「正義」は違います。

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営業部の人にとっては、CMをいっぱい売ることが正義。
 → 世の中が好景気になって、企業がバンバンCM打つことが正義

制作部の人にとっては、高視聴率をとることが正義。
 視聴者が釘付けになるようなセンセーショナルな番組を作る事が正義

なわけです。

芸能人の不倫をどんなに煽っても、世間の景気にはなんの変化もありませんから、営業部の正義と制作部の正義はぶつかりませんでした。

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しかし、新コロに関しては、制作部が視聴率がとれる番組を作るとCMが減るという、相反することが起こってしまいます。
さて、どうすればいいのでしょう?

そこで必要なのがリーダー

こうやって、各部門がよかれと思っていやっていることが、別の部門にとっては悪影響を及ぼすことはたくさんあります。

各自がベストを尽くしている。しかし、組織全体としてはブレーキを踏みながらアクセルを踏んでおり、スピードが出ないだけでなくブレーキにもエンジンにもダメージを与えているという状況は、よくあることです。

そこで、必要になってくるのがリーダーです。

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リーダーの役割は決めることです。

各部門の言い分を聞いて、何を優先するか決めるのです。
まずは聞くこと、そして説明すること、説得すること。

でも、最後まで納得してもらえなかったら、ある部門の人たちの恨みをかってでも、決めなきゃいけないのがリーダーの仕事です。

営業部の反対を押し切って、センセーショナルな新コロ報道で視聴率をとるか
制作部の反対を押し切って、穏健な報道で世間の不況感を減らすか
決めるのがリーダーの仕事です。

どちらに決めても、だれかからは恨まれる。
だから、リーダーは孤独なのです。

このリーダーは、必ずしも社長だけが担うわけではありません。
5人程度の小さな組織でも決断しなくてはならないことはあり、そこに勇気を持って決断しなくてはならないリーダーが必要です。

そして、小さな組織で、説得したり、恨みをかったりしながら決めた経験を踏まえて、より大きな組織のリーダーに挑戦していくことになります。


就活で、副リーダーの経験が受けない理由

このリーダーシップを持つ人は希有であり、会社に非常に高く評価されます。
そのことを知ってか知らずか、自己PRで「私はサークルで副リーダーをしていました」とアピールする就活生は非常に多いです。

が、このアピールは、99%逆効果です。

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まず、大半が「副リーダー」なんてやってないことがバレバレです。
そして、本当に「副リーダー」をやっていても、大して評価はされません。
と、いうのは「リーダー」だろうが「副リーダー」だろうが、その役職に就いていたこと自体は何のアピールにもならないからです。

会社が評価するのは「難しい決断をして、チームを動かした」経験です。
だから、アピールするべき事は「副リーダーとして、このような問題に、このような選択肢があり、このような決断をしました」なのです。

「サークルに他大学の学生が入りたがっている。しかし、他大学の学生を受け入れると学校からの助成金が減る。受け入れるか、受け入れないか」

「インターンで、広告費を使ってプロモーションを行う。メンバーが10種類の広告を用意したが、全てを打つと予算が足りなくなる。どうやって広告を選別するか」

こういう難しい決断をした経験。その判断をするにあたって問題を分析し、チームメンバーを説得し、決断をするにあたってどのように考えたか、その結果がどうなって、結果に対する責任をどうとったか、これがきちんと話せれば、リーダーシップがあることをアピールできるのです。

このように、就活で評価されるのは「役職」ではなく「実際にどんな行動をしたか」です。
だから、リーダーシップをアピールしたければ、できるだけややこしい立場の真ん中に立ち、決断をする経験をすることが大切です。

サークルでも、ゼミでも、インターンでも、できるだけ難しいことに挑戦し、そのリーダーとして決断を行うのです。
非常に辛いことになることもありますが、全てが終わった後、メンバーに感謝されることがおおいのです。

その辛さに耐えられるか、終わった後の感謝に喜びを感じるかが、あなたのリーダーとしての適性の判断材料です。

と、いうわけでテレビの前で
「テレビ局、やってることおかしくね?」とか
「外出自粛とGo toキャンペーン、同時にやるのおかしくね?」と思う人は、ぜひ、自分をややこしい組織の真ん中において、決断をするという体験をしてみてください。

そして、小さな組織の経験を踏まえて、将来、自分が組織の決断を担うことができるリーダーを目指してください。


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