29.自動車(国内) – 嵐

トヨタの決算はまだ発表されていませんが、大幅減益であることは確実でしょう。
さて、トヨタはここから立て直していけるかというお話をします。

トヨタの強いところはその資金力と技術力。
豊富な資金であちこちに投資を行い、人を育て、海の物とも山の物ともつかない技術を、最先端技術に育て上げ、それを使って新しい車を作れることです。

ハイブリットカー、プリウスは、その最たるものです。

では、トヨタの弱点はなんでしょう?
それは、守らなくてはならない人が多すぎることです。

社長が「国内生産台数300万台体制の死守」とか言っているように、トヨタレベルになると、工場を海外に持っていくだけでも、日本経済に莫大な影響を与えます。
トヨタの社員数だけではなく、トヨタに部品を提供する部品メーカー、素材メーカーの命運まで握っているからです。

その辺を踏まえて、政治家ともガッチリ握っており、それなりの忖度をもらいながら、拠点を海外に移転しなくてもなんとかなるような仕組みを整えています。
おそらく、海外移転した方が、利益は上がるのに。

そんな中、これから自動車には革命が起こります。
第一弾が、電気自動車化。第二弾が、自動運転。

電気自動車化最大のトピックは、エンジンが要らなくなることです。

エンジンは、自動車を作るに当たって最も重要かつ難度の高い部品です。
無茶苦茶高温にさらされるのに、ミクロン単位の制度がないと動かない。素材的にも加工的にも、最も高度な部品。
ちなみに、自動車の完成品メーカーの工場がやっているのは、最終組立と、エンジン製造だけです。

しかし、電気自動車はエンジンは要りません。モーターになります。
モーターは、エンジンよりも簡単に作れます。

それだけでなく、全体の仕組みもシンプルになり、部品点数も3万点から1万点くらいに減ります。

そうするとどうなるのか?
エンジンを作っていた熟練の工員やエンジン工場が必要無くなります。
部品会社の2/3が必要無くなります。
その時、トヨタは、自社内の熟練工や、自動車部品会社を捨てられるのか。

電気自動車メインに舵を切るのは、今まで一緒にやってきた仲間を大量に切ることになってしまうのです。

それ故に、だんだんとシフトチェンジしていきたいところですが、世界の流れは待ってくれません。テスラをはじめ、世界中のメーカーが実用に足る電気自動車をリリースし始めています。

仲間を守りながら、新しい世界に入っていくことができるか?
これが、トヨタの最大の課題なのです。

さらに、自動運転車まで行くと、今までの車とは違う世界になります。
走ることが大事ではなく、何ができるかが大事になる。
電話からスマホになるような変化が訪れ、機械そのものよりもそこにのるソフトウェアが大切になる世界。そのソフトウェアをどこまで用意できるのか?

日本の電機メーカーは、この流れに完全に乗り遅れ衰退しました。
トヨタは、それを回避できるのか?
これから、非常に厳しい選択が待っているはずです。

ちなみに、日産はもう駄目です。
日産だけで赤字が6700億円。傘下の三菱自走車を加えると1兆円。

JALとANAの赤字が1/4年で1000億くらいなので、コロナ超直撃を受けてる航空会社よりも赤字がでかいのは驚異的です。電気自動車とか自動運転車の前に、自社がどうなるかって話ですね。(ちなみに、私、元日産社員です。みんな元気かなあ)

他の業界も知りたい人は、こちら