「優秀」な人材のハードルが上がっている問題 その傾向と対策
「就活の採用基準、上がってね?」
就活の記事を書いていて、20年前と比べて、やるべきことがメチャクチャ増えていることはヒシヒシと感じております。

20年前は、就活氷河期なんて言われてましたが、インターンなんてものはありませんでしたし、エントリーシート動画なんてものもありませんでした。(まだYoutubeがない時代です)
なぜ、こんな風に就活の難度が上がったのか?どう対応すれば良いのかを解説します。
目次
カンボジアの優秀な人材は「金を盗まない人」
まずは、比較対象として、私がカレー屋をやっているカンボジアのお話を。
これは、カンボジアで人を雇ったことがある人の90%以上の日本人が納得してくれると思うのですが、カンボジアの飲食店で人を雇うにあたって「絶対手放したくない人材」の基準が「金を盗まない人」なのです。

いや、ホント、金盗むんですよ。レジの金。日常的に。
カンボジア人雇ったことのある日本人の90%以上が被害にあっているくらいに。
それゆえ、お金を盗まないカンボジア人スタッフは超貴重で、絶対に手放してはいけないのです。
我が社のスタッフ、サボン君はまさにそんな人材であるがゆえに、コロナでカンボジアビジネスがストップしてほぼ仕事がない現在ですが、給料全額払っております。カンボジア事業がなくなるまで雇い続けるつもりで、実質的な終身雇用(しかも定期昇給あり)になっています。
日本とカンボジアの「優秀」の違い
日本人にもレジの金を盗む人はいます。でも、確率的にはそれほど多くありません。少なくとも、金を盗まないだけで優秀といわれるレベルではありません。
また、日本の多くの商店ではレジ&防犯カメラが導入されており、お金を盗むとすぐにばれます。
さらに、おつりが自動で出てくるものや、電子マネーも多く、そもそも物理的に盗めない事も多いです。

で、あるがゆえに、日本ではお金を盗まないだけでは「優秀」とは言われないのです。
この話は極端ではあるのですが、多くの仕事でこれと似たようなことが起こっています。
字が上手いだけでは「優秀」と言われない
Wordに文字入力できるだけでは「優秀」だと言われない
Excelにデータ入力してグラフを作るだけでは「優秀」だと言われない
PowerPointでスライドを作るだけでは「優秀」だと言われない
「優秀」のレベルがどんどん上がっているのです。
就活でも
いい大学を出ているだけでは「優秀」とは言われない
頑張って授業に出て単位をいっぱいとっただけでは「優秀」とは言われない
面接でハッタリをかませるだけでは「優秀」とは言われない
なんてことが起こっています。
さらに、日本の先を行く中国や韓国では
英語がビジネスで使えるレベルまでできるだけでは「優秀」とは言われない
インターンでビジネス経験があるだけでは「優秀」とは言われない
複数のスゴいところがないと「優秀」とは言われないくらいのインフレが起こっています。

「優秀」のレベルが上がる理由
こうやって「優秀」のレベルが上がる理由は、「優秀」な人材が増えていることに加え、コンピューターが賢くなっているからです。
その昔、PCがない時代は、ダイレクトメールの宛名なども社員が手書きで書いてました。(履歴書を手書きで書けという会社は、サザエさんの時代の伝統を引きずっているのです)
だから、手書きの文字がきれいというだけで「優秀」だったのです。
しかし、PCとプリンタができて、PCの方がきれいで読みやすい字を書けるようになり、手書きの文字のきれいさは、ほぼどうでもよくなりました。

ただ、まだPCが高くて、一人一台というわけではなかったので、PCを使う専門のオペレーターがいました。普通の社員は手書きで書類を書き、オペレーターの人がそれをPCに打ち込んで印刷してたんですね。
だから、大半の社員はPCなんて触ったことがない。PCに素早く文字を打ち込める人は「優秀」といわれていたわけです。
こんな感じで、PCが安価で使いやすくなるに従って、人間ができることがPCに置き換わり、人間の「優秀」のハードルが上がっているのが現在。これは、なかなか厳しいものがあります。
そんな時代になにをすればいいのか?
そんな世知辛い時代に、就活生はなにをすればいいのか?
ひとつの答えが「「優秀」なスタッフやコンピュータを使う側にまわる」です。
ダイレクトメールにPCがきれいに宛名を印刷してくれるようになっても、誰に送るのか、そもそもダイレクトメールを送るのかを決めるのは人間です。
PCがきれいなグラフやプレゼンテーション資料を作ってくれるようになっても、資料の内容を考えるのは人間です。
誰かが指示を出さないとスタッフもコンピュータも動けない。
指示を出されて動くスタッフの仕事は、より優秀なスタッフであるコンピュータが出てきたことで「優秀」のハードルがどんどんあがっているため、このスタッフやコンピュータを使う側にならないと、非常に厳しいことになるのです。

貧富の格差が開いているのもこれが理由で、人に指示をする側、ビジネスを作る側にとっては、優秀なスタッフ(人材&コンピュータ)が安価に使えるようになったので、利益率がどんどん上がっていくのですが、スタッフは、コンピュータとの競争で賃金が下がっていくので収入が減っているわけです。
だから、みんなが起業しろということをいうわけではありませんが、就活をする際にも、この「スタッフ(人材&コンピュータ)」を使う側になる」ということは、絶対に意識しておいた方がいいです。
そして、就活の面接で問われることも「この人は、スタッフを使う側になれるか」というポイントが重視される会社が増えていきます。
したがって、学生時代に「コンピュータを使ってなにかをした」「人のマネジメントをした」という経験が高く評価されるので、学生のうちにこういう経験を積んでおくと強いです。
「自作のソフトを作って売ってみた」「ネットショップを経営してみた」「バイトで後輩スタッフの指導をしてみた」「サークルで100人参加のイベントを開催した」「インターンで外国人Youtuberと交渉してみた」みたいな体験があると、高評価なのです。
2020年代は、この能力を持った人が圧倒的に強いので、ここを目指すのが王道です。
しかし、誰もがこれをできるわけではないということもわかっています。
次回の記事では、もう一つの戦略「信頼できる人」になる方法、または「素直さと元気さ」を解説します。
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