コロナ禍におけるオンラインインターンシップの実施方法と成果について(日本インターンシップ学会発表内容)

本記事は、2021年9月18日(土)に開催された、日本インターンシップ学会第22回大会で、弊社代表森山たつをが発表した内容になります。

2020年からスタートしたオンラインインターンシップの内容およびその成果を元に、オンラインのインターンで学生に学びを提供するために必要な事を解説しています。

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弊社実績紹介

スパイスアップ・グループは、世界8カ国に拠点を持ち、企業向け、学校向けの海外研修プログラムを行っています。

これらのプログラムは、大学向けは全国25大学(高校、専門学校)の公式プログラムになっており、個人参加では151大学から参加者がおり、累計1200人以上が参加しています。

海外インターンシッププログラム

我々が、コロナ禍以前、カンボジアで行っていたプログラム「サムライカレープロジェクト
」はカンボジアで韻文かビジネス体験をするために、カレー屋経営を体験するというものです。

しかし、カンボジア人はカレーが嫌いです!

だから、自分たちで彼らが求めているモノを探さなくてはならない。
ここで「自分たちがいいと思うモノを売っても駄目」「お客さんが求めているモノを探すことが一番大切」ということを学び、マーケティングリサーチを行うのです。

このように、ビジネスを体験し、壁にぶつかり、必要な事を学び、実行するなかで、マーケティングや人材採用、商品開発、販売など、多岐に渡るビジネスを学んでもらいます。

このプログラム、カンボジアに2週間渡航し、プログラム費+渡航費で20万円以上かかるにも関わらず、年間300人以上が参加する人気のプログラムになりました。

しかし、コロナ禍により海外渡航が難しくなり、プログラムは2020年3月を最後に中止に。
そこで、オンラインのインターンシッププログラムを開催する事にしました。

【漫画×マーケ】Global Marketing Online

ひとつ目のプログラムが、Global Marketing Online。

全国から集まった学生がオンラインで4-8人1チームとなり、スペイン語のマンガアプリ「Manga VAMOS」のプロモーションに挑戦するプログラムです。

このプログラムでも「自分たちがいいと思うものではなく、お客様がいいともうモノを探す」という方針は貫かれています。
とはいえ、お客さんは全てスペイン語圏の人。そこで、オンラインで、翻訳アプリを使ってスペイン語圏の人にヒアリングを行います。

オンライン交流アプリ「Tandem」を使い、マンガに興味があるスペイン語圏の国の人を探し、翻訳アプリ「DeepL」を使い、スペイン語で話しかける。

はじめはおそるおそる始める学生ですが、次第に慣れてきて、最終的には平均で5カ国15人、最高では20カ国100人の人に話しを聞き、現地のマンガに関する状況を調査します。

この調査の途中で、現地の漫画家やマンガ紹介YouTuberに出会うこともあります。(現地のマンガコミュニティにマンガの本場の日本人が来たってだけで、いろんな人に紹介してもらえるのです)

そのYouTuberとコラボしたり、漫画家にマンガを投稿してもらったり、調査した結果を元に彼らの嗜好に合ったSNS広告を打ったりして、アクセス数を伸ばします。

参加学生は、宣伝の方針を決めて、企画書を作り、その内容を元に割り当てられた予算を使いプロモーションを行います。

企画、予算調達、実行、成果発表の流れを、オンラインで4週間で体験することができます。

【国際貢献×クラファン】サムライカレーオンライン SDGs

もう一つのプログラムが、クラウドファンディングお金を集め、カンボジアの小学校や障害者施設を支援する、サムライカレーオンライン。

SDGs・国際貢献が人気ですが、多くのプログラムが学ぶだけで実行するに至りません。
本プログラムでは、問題を見つけ、自分たちでお金を稼ぎ、改善するところまで体験できます。

まずはじめに、現地にオンラインでヒアリングを行い、現在の状況、問題点などを聞きます。

例えば、2021年3月のプログラムでは「小学校の運営費がコロナ禍で足りなくなっている」という問題がありました。

「なぜコロナ禍で運営費が足りなくなるのか?」というところを掘り下げていくと、
・この学校はフリースクールで学費収入がない
・併設している製麺所(ラーメンの麺などを日本食・中華レストランに卸している)の収入で運営しているが、コロナ禍でレストラン営業が減っているため収入減
が原因ということがわかりました。

そこで、「配送範囲を広げ、売上を増やすために、トゥクトゥクを寄贈しよう!」という目標が設定されます。

そして、現在何に困っているか、この学校が将来カンボジアにどんな未来を創るのかをクラウドファンディングのページで表現し、お金を集めます。

自分たちの知り合いから、SNS上の有名人まで、いろいろな人に声をかけ、活動を知ってもらうことによって支援者を集め、最終的に100人の人から50万円の支援を集めて、トゥクトゥクを寄贈しました。

このように、オンラインでも、現地の人の話しを聞き、アプリのアクセス数を伸ばしたり、集めたおかげで現地の学校の経営を改善したりと、リアルな成果を出すことができるのが本プログラムの特徴です。

学生が求めるオンラインインターンとは

このふたつのプログラム、実派、サムライカレーオンラインの方が人気です。

国際交流、マーケティングという学生が好きな要素が入っているにも関わらず、国際貢献、SDGs、クラウドファンディングの方が申込者が多いのです。

この志向は、令和時代を感じるモノであり、弊社のプログラムの今後の方針にも非常に意味のあるものだと考えております。

そして、両プログラムを受講し就活を終えた学生の全員が「就活に役に立ちました」と答えています。


第一志望に一発で内定を取りあっという間に就活を終わらせたり、人気の大手食品・お菓子メーカーのインターンに全て合格したりと、めざましい成果をあげています。

その理由は3つあります。

まず、本プログラム開始前にストレングスファインダーという診断テストを受け、学生のビジネス面での長所を認識してもらいます。それを元に個人面談を行い、将来どんな仕事がしたいかを話した上で、チームの中でどの役割を担うかを決めます。

そして、その役割を実行し、成果を出すことで「本当に自分がその仕事が得意か?」を確認し「その仕事をうまくできた」という自信と実績を作る事ができます。

このように、将来やりたいことを決めて、その役に立つ経験を積んでもらうので、自ずと「経験に基づく志望動機」ができるのです。

そして、最終発表会で、自分の仕事の成果を相手に伝えるためのプレゼン術を学びます。

自分の得意を知る、実行する、プレゼンするを体験できるので、就活で自信を持って
「私はこんな成果を出しました。だから、あなたの会社のお役に立てます」と言えるのです。

そして、90%の学生は「外国人とビジネスを行う自信がついた」という回答をしています。


これは、マーケティングやクラウドファンディングのやり方をしっかり教育し、実行するため、階段を登るように、だんだんと困難な課題に挑戦し、最終的に高い成果をだすことができるようなカリキュラムになっているからです。

そして、プログラム修了後も「自分でクラウドファンディング立ち上げたい」「YouTubeに動画上げてみたい」といった相談に応じ、応援してあげることにより、実行力が伴い、自分に自信がつくのです。

このような成果を出すために、インターンに求められる事が、事前診断、教育、実行、プレゼン練習です。

実行を伴わない、調査と発表をするだけのインターンは、インターンならではの学習効果が薄いです。
しかし、いきなりビジネスを実行させても、多くの学生はついてきません。

まずは、事前診断で参加者の将来の方向性を共有し、指針を出してあげる。
そして、やり方をしっかり教え、階段を用意してから実行に移すことが大切です。

そして、最後に自分がやり遂げた成果を綺麗にラップアップし、発表をさせることで、自分が成し遂げたことを再確認し、自信をつけるのです。

このように設計することで、参加者は「学ぶ人」から「働く人」への転換をはかることができます。
学生から社会人への転換点となるようなオンラインインターンを、多くの企業から学生に提供することで、優秀な若手ビジネスパーソンを日本社会に提供していきましょう。